コラム

広告費の23%が無駄になっている?MFAサイト・AI Slopから予算を守る実践ガイド

広告費の23%が無駄になっている?MFAサイト・AI Slopから予算を守る実践ガイドのアイキャッチ画像
目次

デジタル広告の運用において、広告の「配信先」をどの程度把握できているでしょうか?

全米広告主協会(ANA)の調査によると、プログラマティック広告費の実に23%(年間最大200億ドル)が無駄になっていると報告されています (※1)。その最大の要因の一つが、広告収益を搾取することだけを目的とした「MFA(Made for Advertising)サイト」への予算流出です。

さらに2026年現在、生成AIの普及によってMFAの次世代版とも言える「AI Slop(粗製濫造コンテンツ)」が爆発的に増加し、広告主にとって見過ごせないリスクとなっています。

本コラムでは、MFAサイトやAI Slopが広告主にもたらす「見えない損失」の実態と、なぜ広告効果が低いのかという構造的理由、そして今すぐ実践できる対策について解説します。

生成AIで作成した画像

1. MFAサイト・AI Slopとは何か?

まず、近年デジタル広告業界で問題視されている2つの用語を明確に定義します。

MFA(Made for Advertising)サイトとは

MFAサイトとは、「ユーザーに価値あるコンテンツを提供することではなく、広告収益(アービトラージ)を最大化することのみを目的に作られた低品質なウェブサイト」を指します。

MFAサイトには以下のような典型的な特徴があります。 

・異常な広告密度: 1ページあたりの広告数が平均4.4個と、通常の高品質サイト(1.4個)の約3倍に達します(※2)。

・有料トラフィックへの依存: 検索エンジンからの自然流入ではなく、SNSのクリックベイト広告経由の有料トラフィックに依存しています。

自動リフレッシュ: ユーザーがページに滞在している間、広告枠だけが自動的に次々と切り替わり、インプレッションを稼ぎ続けます。

AI Slopとは

AI Slopとは、「生成AIを用いて大量かつ自動的に生成された、無意味または質の低いコンテンツ」のことです。MFAサイトの「次世代版」とも呼ばれています。

これまでMFAサイトの構築にはある程度の人手が必要でしたが、生成AIの登場により、他サイトからの記事の盗用やリライト、架空の著者による記事作成が「ほぼコストゼロ」で行えるようになりました。これにより、粗悪なサイトがかつてないスピードで量産されています。


2. なぜMFAサイトの広告効果は低いのか?(3つの構造的理由)

「自社の広告はViewability(視認性)基準を満たしているから大丈夫」と考えているマーケターは少なくありません。しかし、MFAサイトにおいては、その前提が崩れます。なぜMFAサイトの広告効果は著しく低いのでしょうか。

① 指標のハック:「Viewable」であっても「Viewed」ではない

MFAサイトは、広告主が重視する「Viewability(視認性)」や「CTR(クリック率)」といった中間指標を高く見せるように巧妙に設計されています。

しかし、アイトラッキング調査を行うLumen Researchのデータによると、MFAサイトに表示される広告のうち、実際にユーザーの目に入る(Attentionを獲得する)のはわずか7%に過ぎません(※3)。画面内に広告が表示されていても、ユーザーは密集した広告を無視してコンテンツ(クリックベイトの答え)を探しているため、広告としての機能は果たしていません。

② ユーザーインテントの欠如

MFAサイトを訪れるユーザーの大部分は、SNS上のセンセーショナルな広告に釣られてやってきた人々です。彼らは「特定の商品を探している」わけではなく、「見出しの答えを知りたい」だけです。購買意欲やインテントが全くないユーザーに対して広告を表示しても、コンバージョンに結びつく可能性は極めて低くなります。

③ 誤クリックの多発によるCTRの歪み

MFAサイトでは、スマートフォンなどの狭い画面に広告が密集して配置されます。そのため、ユーザーがコンテンツをスクロールしようとして誤って広告をタップしてしまう「誤クリック」が頻発します。見かけ上のCTRが高くても、直帰率が異常に高い場合は、MFAサイトによる誤クリックを疑う必要があります。


3. MFA除去で何が変わるか?

では、MFAサイトを配信先から除外することで、実際の広告パフォーマンスはどのように変化するのでしょうか。

米国の広告代理店Butler/Tillが2024年に実施した実証実験では、27の広告アカウントからMFAサイトの配信をブロックした結果、驚くべき変化が見られました(※4)。

  • CPM(インプレッション単価)が3.2%低下: MFAを除外しても、全体の広告獲得コストは上昇しませんでした。
  • CTR(クリック率)が32.5%改善: アドサーバー側でボットや誤クリックを厳密にフィルタリングした結果、真のCTRが大幅に向上しました。

また、ANAが発表した「Q1 2026 プログラマティック透明性ベンチマーク」によると、配信面を厳格に管理している上位広告主は、広告費の54%を「有効なインプレッション」に転換できているのに対し、管理が甘い下位広告主は32%にとどまっています(※5)。この21.9ポイントの差が、そのまま「広告費の無駄」の差となって表れています。


4. 2026年の最新動向:AI Slopが「モグラたたき」を加速

2026年現在、事態はさらに深刻化しています。不正対策プラットフォームDeepsee.ioの調査によると、AI Slopドメインは過去1年間で717%も増加し、10万件規模に膨れ上がっています(※6)。

MFAサイトの運営者は、広告主のブロックリスト(配信除外リスト)に登録されると、すぐに別のドメインを取得してAIでコンテンツを自動生成し、新たなサイトを立ち上げます。この「モグラたたき(Whack-a-mole)」状態が常態化しており、手動でのリスト更新や静的なブロックリストだけでは、AIの生成スピードに追いつくことが不可能になっています。


5. 広告主が今すぐできる3つの対策

このように巧妙化するMFA・AI Slopからブランドと予算を守るために、広告主はどのような対策を講じるべきでしょうか。

① 配信先の定期的な精査と動的ブロックリストの活用

自社の広告がどこに配信されているか(プレースメントレポート)を定期的に確認することが第一歩です。しかし、手動での確認には限界があるため、日々自動で更新される「動的なブロックリスト(配信非推奨リスト)」をDSP等のプラットフォームに適用することが不可欠です。

② 評価指標の見直し(TrueCPMの導入)

表面的なCPMの安さやViewabilityの高さだけで配信面を評価するのをやめましょう。ANAが提唱する「TrueCPM(無駄を排除した真のインプレッション単価)」や、Lumen Researchが提唱する「Attention(実際の注目度)」といった、より本質的な指標を取り入れることが推奨されます。

③ 専門ベンダー・アドベリフィケーションツールの導入

AIによって量産される不正サイトを見抜くには、同じく高度なテクノロジーを用いた対抗策が必要です。アドベリフィケーションを専門とするベンダーのツールを導入することで、MFAやAI Slopへの配信を自動的かつ未然に防ぐことが可能になります。



まとめ:Momentumが提供する「AI時代のブランド保護」

プログラマティック広告は非常に効率的な手法ですが、配信面の品質管理を怠れば、貴重な広告予算が「MFAサイト」や「AI Slop」の運営者の懐へと流出してしまいます。

Momentum(モメンタム)では、独自の解析技術と膨大なデータを活用し、最新の低品質サイトを網羅した配信非推奨リスト「HYTRA DASHBOARD」を提供しています。

このリストをブロックリストとしてセットしていただくだけで、最新のAI量産型サイトやブランド毀損リスクの高い粗悪な配信面への広告掲載を「あらかじめ」防ぐことができます。

「気付かぬうちに無駄な予算を消化していた」という事態を防ぎ、広告費を「本当に価値のあるユーザー」へのリーチに集中させるために。まずはMomentumにご相談いただき、安全かつ効率的な広告運用を実現しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. MFAサイトとアドフラウド(広告詐欺)の違いは何ですか? 

A. アドフラウドは「bot(プログラム)」を使って架空のクリックやインプレッションを発生させる詐欺行為です。一方、MFAサイトは「実在の人間」が訪問しているためシステム上は正当なトラフィックとして扱われますが、広告効果が極めて低い低品質なサイトを指します。

Q. AI Slopサイトに広告が掲載されると、ブランドセーフティに影響しますか? 

A. はい、影響します。AI Slopは内容の正確性が担保されておらず、フェイクニュースや不適切なコンテンツが含まれるリスクが高いため、そこに広告が掲載されることはブランド毀損リスクに直結します。


参考文献

※1:Association of National Advertisers (ANA). “ANA Provides ‘First Look’ at In-depth Programmatic Media Transparency Study.” June 19, 2023. 

※2Index Exchange / Jounce Media. “What Are MFA Sites and How Do They Affect the Media Landscape?” 

※3:Lumen Research. “The Attention Crisis of Made-for-Advertising Websites.” 

※4:Butler/Till. “The Impact of Systemically Removing MFA Inventory from Programmatic Media Campaigns.” February 6, 2025. 

※[5:Association of National Advertisers (ANA). “ANA Programmatic Transparency Benchmark Reveals Widening Gap Between Top and Bottom Advertisers.” May 27, 2026. 

※[6:Digiday / Deepsee.io. “WTF is AI slop doing to warp media metrics?” June 2, 2025.

Momentumブログ編集部

Momentumブログ編集部

Momentum株式会社は、「デジタル社会の信頼インフラをつくる」という理念のもと、アドベリフィケーションソリューションをはじめデジタルマーケティングのリスクを排除するためのソリューションを開発・提供しています。 デジタルマーケティングに関わるリスク対策のコスト・工数の削減を実現し、ビジネスをより本質的な課題へ向き合わせるためのリソースを創出します。